本文へスキップします。

H1

労働保険事務組合制度とは

コンテンツ

中小企業の事業主団体が、その構成員である事業主等の委託を受けて、事業主に代わって労働保険料の申告・納付その他労働保険に関する各種の届出等の事務手続を行うことにより、中小事業主の事務処理の負担を軽減し、労働保険の適用促進及び労働保険料の適正な徴収を図る制度です。

労働保険事務組合とは、事業協同組合、商工会議所、商工会その他の事業主の団体またはその連合団体が、その団体の事業の一環として、事業主から委託された労働保険事務の処理を行うために、厚生労働大臣の認可を受けた場合に呼称される名称です。
したがって、既存の事業主団体と同一の組織であり、新たに労働保険事務組合という団体を設立するものではありません。

労働保険事務組合は、事業主団体がその構成員である中小企業の事業主の委託を受けて、労働保険の適用、保険料の納付等の事務を処理していますが、労働保険事務組合と委託事業主との関係、保険者である政府との関係は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律に定められています。その主要なものは、次のとおりです。

  • 事業主団体が労働保険事務組合としての業務を行うには、厚生労働大臣の認可が必要です。
  • 労働保険事務組合は、委託事業主の労働保険料の申告・納付、各種届け等を委託事業主に代わって、まとめて政府に行うことになります。
  • 政府は、労働保険事務組合に委託した事業主の労働保険料に関する各種通知は、労働保険事務組合に対して行うことになります。
  • 労働保険事務組合は、委託事業主から労働保険料の交付を受けた場合は、これを政府に納付することが法律上義務付けられています。仮に、納付が滞った場合は、政府は、まず、労働保険事務組合に督促及び滞納処分を行い、残余の額がある場合に限り、委託事業主から徴収することができることとされています。
コンテンツ

労働保険事務組合制度の沿革

  • 昭和33年 失業保険事務組合制度の創設による失業保険の加入促進

労働保険事務組合制度は、中小零細事業場の労働保険事務を事業主団体でまとめて処理しようとするものですが、その原型は、昭和33年10月の失業保険法の改正によって創設された失業保険事務組合制度に見られます。
当時失業保険においては、労働者5人未満の事業場は任意適用とされていたため、それらの零細事業場の労働者の失業保障に制度的問題が指摘され、その解決の一つの手法として事業主団体による集団加入方式が採用されることとなりました。これが「失業保険事務組合制度」ですが、この制度の創設により、事業協同組合等の事業主団体が、労働大臣の認可(認可の権限は、都道府県知事に委任。)を受けて、その団体の構成員である事業主に代わって、被保険者資格得喪の届出、保険料の申告・納付等失業保険に関する事務処理(日雇い労働者に関する事務を除きます。)を行うことができるようになり、労働者5人未満の零細事業場を中心に失業保険の加入促進が図られました。

  • 労災保険強制適用と任意適用による補償格差の発生

一方、労災保険においては、従来は一時金であった障害補償、遺族補償について、「必要な期間、必要な補償を行う」との観点から年金制度が取り入れられました。しかし、労災保険では、労働災害の発生度合いの高い建設業、林業などは、事業規模を問わず強制適用とされていましたが、製造業では労働者5人未満の事業場が、また、労働災害の発生度合いが低い事業所などは規模を問わずすべての事業場が任意適用とされていました。そのため、労災保険に加入していない事業場で労働災害に遭遇した労働者は、労働基準法の災害補償によることとなりますが、これは一時金による補償であるため、年金制度を導入した労災保険加入事業場と災害補償において大きな格差が生ずることとなりました。そのため、すべての事業場の労災保険加入が要請されることになり、これが後の労災保険の全面適用に繋がっていくのですが、それまでの間は、労災保険の任意適用事業場について加入促進で対応することとされました。

  • 昭和40年 労災保険事務組合制度の創設による労災保険の加入促進

このような背景の下、労災保険給付の年金化を図ることとした労災保険法の改正に併せて、昭和40年11月から失業保険事務組合制度に準じた「労災保険事務組合制度」が創設されました。これにより、事業協同組合等の事業主団体が、労働大臣認可(認可は、都道府県労働基準局長が専決処理。)を受けて、その団体の構成員である事業主の委託を受けて、労災保険の適用手続き、保険料の申告・納付の事務処理を行うことができるようになり、任意適用とされていた中小零細事業場を中心に労災保険の加入促進が図られました。

  • 昭和47年 労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行と労働保険事務組合制度の誕生

このような経過を経て、失業保険事務組合と労災保険事務組合制度が創設されましたが、それぞれの創設時の課題に対処するため、全国的に事務組合の設立とそれによる中小零細事業場の集団加入が強力に進められました。そして、失業保険と労災保険の全面適用を視野に置く中で両保険適用徴収業務の一元化を定めた「労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律第8号)」が昭和47年4月1日に施行され、失業保険事務組合制度と労災保険事務組合制度が統合され、現在の「労働保険事務組合制度」が誕生することになりました。
そして、昭和50年4月から労働保険の全面適用が実施されることとなりました。

  • 労働保険事務組合制度活動の理念

労働保険事務組合制度は、まさにこの全面適用を支える柱として機能することが期待されることとなりましたが、これは、その制度創設にあたって課題である「保険適用が行政的手法では困難な小零細事業場を中心とする適用促進」に通ずるものであり、このことによりとかく社会保障では軽視されがちな小零細事業場の労働者の保護に資することとなるとの考えと併せて、以後の労働保険事務組合活動を支える理念となりました。

コンテンツ

労働保険事務組合の数

労働保険事務組合の数は、全国で約9千5百あります。
事業主団体の種類別にみると、次のようになっています。(平成30年3月末)

団体区分 事務組合数
事業協同組合 1,178
商工会議所 489
商工会 1,626
商店街振興組合 37
小売酒販組合 21
生活衛生同業組合 89
その他の団体 6,085
合 計 9,525

コンテンツ

委託事業場の数と取扱保険料額

労働保険事務組合に事務を委託している事業場は、全国で約138万3千(平成29年度)を数えており、これは労働保険の全適用事業場の約42.5%に当たります。
また、取扱保険料は約2,939億円(平成29年度)で、全労働保険料額の約11.8%に当たります。

このように、労働保険の適用、保険料の徴収等の面で、労働保険事務組合は、大きな役割を果たしています。このことから、労働保険事務組合制度の発展に貢献した方々には、厚生労働大臣から表彰が行われる等、政府(厚生労働省)によってさまざまな奨励措置がとられています。

コンテンツ

労働保険事務組合の認可を受けるには

事業主団体が労働保険事務組合の認可を受けようとするときは、「労働保険事務組合認可申請書」を、その団体の主たる事務所の所在地を管轄する公共職業安定所長(建設事業など、労災保険の二元適用事業等のみから事務の委託を受ける団体にあっては、労働基準監督署長)を経由して、都道府県労働局長に提出する必要があります。この申請書には、次の認可基準に該当することを証する、所定の資料を添付することになっています。

認可を受けた労働保険事務組合は、事業主の委託を受けて労働保険の事務処理を行うものですが、通常の代理人と異なり国との関係において、次のような特別の責任を負うようになります。

  • 労働保険料等の納付責任
    委託事業主から交付を受けた金額の限度で、国に対して納付する責任が生じます。
  • 追徴金又は延滞金の納付責任
    労働保険事務組合の責めに帰すべき理由により、国が追徴金又は延滞金を徴収する場合、その限度で国に対して納付する責任が生じます。
  • 不正受給等に対する責任
    労働保険事務組合の虚偽の届出報告証明等によって不正受給が行われた場合には、不正受給者と連帯して、受給金額を返還しなければなりません。

コンテンツ

認可基準

団体の性格
  • 団体が法人であるか否かは問いませんが、法人でない団体にあっては代表者の定めがあることのほか、団体の事業内容、構成員の範囲その他団体の組織、運営方法(総会、執行機関、財産の管理運営方法等)等が、定款、規約その他団体の基本となる規則において明確に定められ、団体性が明確であることを要します。
    〔確認資料として、定款、規約等、団体の目的、組織、運営等を明らかにする書類(団体が法人であるときは登記簿の謄本を含む)の提出が必要です。〕
  • 定款等において、団体の構成員又は間接構成員である事業主(員外者たる事業主を含む。)の委託を受けて、労働保険事務の処理を行うことができる旨定めていることを要します。
    定款等が行政庁の認可により効力が生ずるものであるときは、その認可を受けており、また事業登記を要するものであるときは、登記済のものであることを要します。
  • 労働保険事務の委託を予定している事業主が30以上あることを要します。
    〔確認資料として、委託予定事業主の委託依頼書の提出が必要です。〕
  • 団体として本来の事業目的をもって活動し、その運営実績が2年以上あることを要します。
    〔確認資料として、事業目的に沿って過去2年間適正な事業運営を行ったかどうかについて、総会等の議決機関によって承認された、2年間にわたる事業報告及び収支決算等の運営の状況を明らかにする書類の提出が必要です。〕

財政基盤
  • 団体は相当の財産を有し、労働保険事務組合の責任(労働保険料の納付等の責任)を負うことができるものであることを要します。
    〔相当の財産を有するかどうかについての確認資料として、次の書類の提出が必要です。①不動産を有する団体にあっては登記簿の謄本等、②その他の資産(預金等)を有する団体にあってはそれを証明する書類(預金証書等)〕
    〔法人でない団体にあっては、上記の他、役員及び労働保険事務を総括する者の財産の保有状況を証する書類、並びに役員による労働保険料その他徴収金の納付誓約書〕
事務処理体制
  • 労働保険事務を確実に行う能力を有する者を配置し、労働保険事務を適切に処理できるような、事務処理体制が確立されていることを要します。
    「労働保険事務の処理を確実に行う能力を有する者」とは、例えば社会保険労務士その他労働関係法令に精通していると認められる者を言います。
    「労働保険事務を適切に処理できるような事務処理体制」とは、上記の者が当該団体の役職員として、実際に労働保険事務に携わることが予定されている場合を言います。
    〈労働保険事務を予め第三者に、再委託することを予定している事務組合の認可は認められません。〉
  • 団体の役員及び認可後の事務組合において、予定されている事務を総括する者は、社会的信用があり、事務組合の行う業務に深い関心と理解を有する者であることを要します。
    〔団体の役員及び事務を総括する者の経歴書の提出が必要です。〕
  • 労働保険事務処理規約の作成にあたっては、所定の事項を定め、当該団体の議決機関の承認を経ることを要します。
  • 委託する事業主は、原則として事務組合の主たる事務所が所在する都道府県に、主たる事務所をもつ事業の事業主であることを要します。
    〔20%以内の隣接する都道府県の事業主などの例外があります。〕


  労働保険事務組合​事務処理規約例
  jimusyorikiyakurei.docx